第5回 研究集会

本研究集会は終了しました。最終更新日2001/05/25。

1999年12月04日(土) 13:00〜17:00、ホテルアウィーナ大阪にて開催。

メインテーマ <ジェンダー研究の現在>
司会:安井眞奈美天理大学文学部)
「戦後の母性」 田間泰子(大阪産業大学経済学部)
「戦後のセクシュアリティ ---三人のみちこ、その青春」 川村邦光大阪大学文学部)

 第5回研究会は、ジェンダーおよびセクシュアリティ研究の第一線でご活躍のお二人をお招きし、活発な議論を展開することができた。田間氏は、1950年代から80年代にかけての子捨て・子殺しに関する新聞記事の分析を通して、メディアが事件の説明に「母性喪失」というレトリックを使いながら、母親にすべての責任を転嫁していく様を詳細に検討した。とくに「堕胎天国」と呼ばれた70年代、中絶もすべて母親が悪いとする一連の記事から、母性という概念が、「中絶する」という行為にまでは及ばなかったことを指摘した。一方、川村氏は、正田美智子、樺美智子、大島みち子といった1960年前後に青春時代を送った3人に注目し、彼女たちを取り上げた雑誌や新聞記事などのメディアにおいて、中絶やセックス、オーガズムなどがいかに語られてきたのかを分析した。単なる言説分析にとどまらず、そこにみられるセクシュアリティや身体感覚の変化にも言及がなされた。
 両者の発表を受けて、フロアからはとくに現代の問題にひきつけた視点からの質問が相次ぎ、多岐にわたって有意義な議論を行うことができた。(報告:安井眞奈美)