第17号

【特集】「日本」「日本人」の境界を問い返す

川上郁雄
特集について
デビッド・チャップマン
国家の周辺を問う小笠原諸島民の国籍、戸籍、アイデンティティ
陳 天璽
無国籍状態の人から国籍・戸籍を再考する
川上郁雄
「難民」として来日した親を持つ子どもたちの記憶と自己表象―複言語と無国籍の間で                       

【論文】

金 泰植
在日朝鮮人政治犯と朴正煕政権におけるヘゲモニーの危機       
魯 成煥
韓国における因幡の白兎型説話                   
池内恵
近代日本における角兵衛獅子の言説―明治期から昭和期初期を中心に

【研究ノート】

川村清志
機動戦士ガンダムスタディー―研究の射程と課題(二)
細井綾女
ポスト・コロニアルの家族小説梁石日、アズズベガク再読
村岡大河
大喜利」とは何か―テレビにおける歴史的展開と現在

【書評】

伏見裕子
『出産環境の民俗学――〈第三次お産革命〉にむけて』安井眞奈美

執筆者紹介
彙報
投稿要領
英文目次
編集後記

大会テーマ 『妖怪談義』再考

開催の趣旨

  いまや何度目かの「妖怪ブーム」のただなかであるが、民俗学は、この「妖怪」を学問の対象として取り上げ、真摯な研究を続けてきたと目されている。その学父である柳田國男の『妖怪談義』は、民俗学の妖怪に対する考えを示したものとして、ある時は金科玉条のごとく受け入れられ、ある時は仮想敵のごとく批判の対象となってきた。その際、常に論点となったのが、「妖怪は零落した神である」という、いわゆる柳田の「零落説」である。しかし、この「零落説」があまりにもクローズアップされすぎていたために、賛否いずれの立場の者も、『妖怪談義』を今までちゃんと検証してはこなかったのではなかろうか。この研究会では、まずはこの『妖怪談義』を、それが書かれた歴史的文脈のなかに置き直し、また柳田が参照したデータに立ち返ることで、柳田がどのような考えのもとに妖怪の研究をおこなったのかを明らかにし、その「民俗学」がめざそうとしたものはなんだったのかについて考えてみたい。

司会:司会:飯倉義之(國學院大學
日時
2014年12月7日(日) 13:30〜17:30(13:00より受付)
会場
神戸女子大学教育センター(三宮キャンパス)5階特別講義室

-JR三ノ宮駅阪神阪急三宮駅から徒歩約15分
-アクセス・地図等はこちらを御参照ください。


発表1   「「妖怪名彙」の成立過程から妖怪を読み直す」

化野燐(あだしのりん)氏(作家)

[要旨]
 『妖怪談義』の巻末に収められた「妖怪名彙」は、民俗学的な妖怪の典型を集めた「事典」として理解され、通俗的な妖怪を生み出す源となったことからも一般にもよく知られている。しかしながら、どんな妖怪をどのように集めたのか、また収集の目的がどこにあったか等の問題は未だ充分に論じられていないようである。今回の発表では、「妖怪名彙」の成立過程をつぶさに追い、また類型論的に把握しなおした妖怪を現地の文脈にもどしてやるなどした上で、柳田たちの妖怪論を読み直してみたい。


発表2   「柳田國男の妖怪研究と『妖怪談義』」

香川雅信(かがわまさのぶ)氏(兵庫県立歴史博物館)

[要旨]
 柳田國男の『妖怪談義』は、これまでもっぱら「零落説」の書物として見られてきた。しかし、柳田の妖怪研究には、大きく分けて三つの時期があり、『妖怪談義』には異なる時期の論考が収録されている。とりわけその第3期において柳田が重視したのは「共同幻覚」である。本発表では、この「共同幻覚」という視点から、『妖怪談義』、そして柳田の妖怪研究を読み解いていきたいと思う。


コメント   小松和彦(こまつかずひこ)氏(国立国際日本文化研究センター所長)


※研究大会終了後に、三宮駅近辺にて懇親会を行う予定です。

(研究会事務局)

〒621-8555 京都府亀岡市曽我部町南条大谷1-1
京都学園大学人間文化学部 佐々木研究室
Tel 0771-29-2467

(研究会サイト)

http://d.hatena.ne.jp/hikakunihon/


入会方法

 会則に賛同される方ならば、どなたでも入会できます。会則のページを御参照ください。
 具体的な入会手続きについては、事務局または最寄りの会員にお問合せください。なお、2007年12月現在、年会費は1500円になっております(運営委員は30000円)。

会則

1994年 9月 1日 施行
1999年12月 4日 改定
2001年12月 8日 改定
 
第一条   本会は、比較日本文化研究会と称し、事務局を京都学園大学人間文化学部内に置く。
第二条   本会は、国際的視野をもった日本研究とその理論研究および会員相互の研鑚を目的とする。
第三条   本会は、次の事業を行う。
   一 機関誌『比較日本文化研究』の発行
   二 研究会および講演会の開催
   三 研究成果の出版刊行
   四 その他の事業
第四条   本会は、第二条に掲げた目的に賛同するものをもって会員とする。
第五条   本会の経費は、会費・補助金交付金、その他の収入をもってこれにあてる。
第六条   会員は機関誌『比較日本文化研究』の配布を受け、同時に研究論文を投稿し、本会の主催する集会に出席することができる。
第七条   本会には会長を1名置く。会長は運営委員の互選により選ばれ、総会で承認を受け、会を統括し、会長として本会を代表する。会長の任期は2年とし、再任はしない。

設立の趣旨

 本会は、国際的・学際的視野からの日本文化研究・人間文化研究のための研究・交流の場となることを目指して一九九四年に設立された「待兼山比較日本文化研究会」を前身として、二〇〇一年に設立されました。前会は設立当初より、大阪大学文学部日本学研究室の修了生を中心にしながらも、大阪大学の枠にこだわることなく、さまざまな研究分野との幅の広い研究交流を進めてまいりました。結果、これまでさまざまな方面の方々の参加と協力を得、国際的・学際的な研究・交流の一定の成果を示すことができたと考えます。このような研究・交流の発展の姿は、すでに「待兼山」というローカルな名を超えていることを示していると言えます。そこで、さらなる研究会の発展と研究・交流の新しい拠点になることを願い、会の名称を改め、再スタートすることになりました。
 本会も、前会同様、大きな派手な研究会を望まず、持続性のある、地道な研究成果が発表できる、そして大胆な仮説や解釈も気軽に発表できる、さらに海外の研究者にも参加していただけるような研究会にしていきたいと考えています。
 この目的を実現するために、研究誌『比較日本文化研究』の刊行および研究集会等を今後も積極的に行っていきたいと考えています。

本研究会について

当研究会は国際的視野をもった日本研究とその理論研究および会員相互の研鑚を目的として設立されました。現在、機関誌発行および研究集会などを中心とした様々な研究活動を行っています。関心を持たれた方は、ご遠慮なくお問合せください。