2017年度研究大会(第一報)
2017年度研究大会は、以下の開催予定です。詳細は続報をお待ちください。
・日時:2017年12月9日(土)午後
・会場:京都外国語大学
・テーマ(仮):妖怪の「モノ」語り〜妖怪物質文化論に向けて〜
大会テーマ 島嶼社会を考える
- 日時
- 2016年12月10日(日) 13:30〜17:00
:会場場所:神戸女子大学教育センター(三宮キャンパス)
-(神戸市中央区中山手通2-23-1)
-アクセス・地図等はこちらを御参照ください。
-研究大会終了後に、近隣にて懇親会を行う予定です。
発表1 地域資源の生成過程におけるコミュニティの実践
木原弘恵氏(神戸大学大学院農学研究科 地域連携センター)
[概要]
地方創生の掛け声のもと、持続的な社会を目指した地域の取り組みが、各地で実施されている。ただ、こうした地方に対する施策は今に始まったことではなく、戦後の高度成長期以降、都市への人の移動が急速に進み、人口減少していく農山村では長らく模索されてきた。人口減少の一途を辿る地方社会のなかでも、本報告でとりあげる島嶼という場所は、四方海に囲まれ、地理的に本土と隔絶している。そのため、本土と対比して、後進性が強調されがちであり、離島振興法の制定などにより、その後進性の「改善」が目指されてきた。地域を、このように「改善」の対象としてみる視点は、国土保全の問題と結び付けられることも多い。このことは、近代国家成立以来、国家を支えるために、地方社会から都市へ人やモノの収奪があったことを示唆するものでもある。
本報告は、地域社会の存続について検討するものではあるが、都市/農山村、あるいは本土/島嶼の格差ではなく、そこで暮らす人びとの視点から検討しようとするものである。近年、各地で、地域資源になりうるものを見出すことが促進されている。本報告では、瀬戸内海島嶼部のコミュニティによる、内部/外部の資源利用のありようを考察する。具体的には、休耕地に自生していた桑の木を地域資源として再発見していくプロセスにおいて、人びとが、外部へ依存しつつ、共同性の維持をどのように成り立たせてきたのか考えてみたい。
参考:
木原弘恵,「文化財指定と『担い手』の実践 ―二つの踊りの来歴をめぐって」,『関西学院大学社会学部紀要』(121),107-117, 2015.
木原弘恵,「地域伝統文化をめぐる再編過程の一考察 ―岡山県笠岡市白石島・踊会の対応を事例に」,『生活文化史』(67), 35-47, 2015. ほか
前畑明美氏(法政大学 沖縄文化研究所)
[概要]
島ならではの特性─「島嶼性」は、多様な要素から構成されている。諸要素のうち、日本でまず挙げられることの多い「環海性・隔絶性・狭小性」は、島が一般にマイナスイメージを持たれる所以であるが、またそれゆえ、協力的な生活体系が島々に存在することも周知のように思われる。しかし、その協力的な生活体系の成り立ちに他要素が深く関わる点について、人々の意識や関心は希薄である。「集合性・集約性・温存性」はコミュニティの形成・維持に不可欠な存在であるし、またそこでのネットワークづくりには「伝搬性・拡散性・開放性」が関与している。島という基盤の上に人々は縦糸・横糸でつながり、他島へとネットワークを広げながら海洋島嶼文化が醸成されていく。
このように、人と人、人と島、島と島をつなげて社会関係を創り出す、その源が「島嶼性」であり、持続可能な島嶼社会の基礎をなすものである。本発表では、戦後日本でみられるこの「島嶼性による島の社会関係」の変化について、沖縄県浜比嘉島の架橋化の事例から明らかとし、それが今日の島嶼国日本においてどのような意味を有するのかを考えてみたい。
大会テーマ 葬送と死生観の変化をめぐる日韓比較研究の試み
- 日時
- 2015年12月6日(日) 13:30〜17:00
- 会場
- 関西学院大学梅田キャンパス1003教室
-大阪市北区茶屋町19-19 アプローズタワー10F
-アクセス・地図等はこちらを御参照ください。
-研究大会終了後に、近隣にて懇親会を行う予定です。
映画 「We Don’t Need a Grave」上映(映像人類学作品、2014年制作、27分)
監督 金セッピョル氏
RAI International Film Festival of Ethnographic Film(2015年、イギリス)招待作品
Days of Ethnographic Cinema(2014年、ロシア)招待作品
Eyes and Lenses XI(2014年、ポーランド)招待作品
発表1 日本の自然葬に見られる遺骨=霊魂認識の矛盾 ―NPO法人「葬送の自由をすすめる会」を中心に―
金セッピョル氏(国立民族学博物館)
[概要]
家制度と檀家制度を基盤とする葬送儀礼が変化を迎えるなか、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」(以下、「すすめる会」と略す)は1991年から自然葬(散骨とそれに付随する儀礼)の普及と実施に携わってきた。自然葬は継承不要の代替的な葬送儀礼、あるいは簡便な葬送儀礼として捉えられがちである。しかし「すすめる会」は、家制度・檀家制度と結びついた国家、および商業主義に対抗する社会運動体としての性格をもっており、自然葬は、従来の葬送儀礼を敢えて「行わない」形で周到に構成されてきた。その一つとして、「すすめる会」では特定できない場所に遺灰を広く散布し、また墓参りのような感覚で再訪問しないことが重視される。墓のような埋葬・追悼空間が意図的に拒否されているのである。
「すすめる会」が墓を拒否するために提示する死後観に、「遺骨に霊魂は宿らない」という言説がある。自然葬実施者たちは、これを積極的に受け入れながらも、相変わらず遺骨を死者の依り代とする感覚をもっている。自然葬実践はこのような言説と感覚の矛盾のなかで繰り広げられ、「すすめる会」の理念型自然葬に収まりきれない多様性に満ちている。
本発表では、「すすめる会」を中心に自然葬実践の諸相を検討し、葬送儀礼が再編されつつある現代日本社会における遺骨=霊魂認識について考えたい。
参考:金セッピョル(2012)「自然葬の誕生−近代日本の拒否」『総研大文化科学研究』8
発表2 韓国における葬送儀礼の変遷とその意味
宋 鉉同(ソン・ヒョンドン)氏(韓国・建陽大学校)
通訳:浮葉正親(名古屋大学)
[概要]
韓国の葬送儀礼は、1990年代中盤以後、三つの側面で伝統とは異なる様相を見せている。
(1)葬送の方式が急変していること。過去500年以上も維持されてきた土葬中心の葬礼文化が火葬に変わった。
(2)葬礼の場所が家から病院葬礼式場に移動したこと。葬礼が家族や地域共同体の次元を離れ、商業化の様相が進んでいる。
(3)政治的、社会的な原因による死者に対する葬送儀礼が強化されていること。葬送儀礼が国家の統治イデオロギーの強化や社会統合の手段として使われることもあり、逆に社会変革のための抵抗の手段となることがある。
本発表では、事例分析を通して、韓国人の死生観を伝統社会と現代に分け、比較する。
参考:
宋鉉同(2008)「韓国民俗学界の研究傾向と課題―方法論を中心に」『韓国民俗学』第47号、韓国民俗学会(原文韓国語)
宋鉉同(2010)「現代韓国の冤魂儀礼の様相と特徴」『宗教研究』第61輯、韓国宗教学会(原文韓国語)
会則
1994年 9月 1日 施行
1999年12月 4日 改定
2001年12月 8日 改定
第一条 本会は、比較日本文化研究会と称し、事務局を京都学園大学人間文化学部内に置く。
第二条 本会は、国際的視野をもった日本研究とその理論研究および会員相互の研鑚を目的とする。
第三条 本会は、次の事業を行う。
一 機関誌『比較日本文化研究』の発行
二 研究会および講演会の開催
三 研究成果の出版刊行
四 その他の事業
第四条 本会は、第二条に掲げた目的に賛同するものをもって会員とする。
第五条 本会の経費は、会費・補助金・交付金、その他の収入をもってこれにあてる。
第六条 会員は機関誌『比較日本文化研究』の配布を受け、同時に研究論文を投稿し、本会の主催する集会に出席することができる。
第七条 本会には会長を1名置く。会長は運営委員の互選により選ばれ、総会で承認を受け、会を統括し、会長として本会を代表する。会長の任期は2年とし、再任はしない。